耐震診断とインスペクションの違いは?
毎日暮らす家にとって「耐震性」は欠かすことのできない要素です。
住宅の耐震性は耐震診断で調べることができますが、診断には費用が発生し、インスペクションを実施したからといって耐震診断を行わずに済むわけではありません。
ホームインスペクション富士はオプションとして耐震診断を追加することができます。
耐震診断とは
耐震診断とは、建築基準法で定められた「耐震基準」にもとづいて図面と建物を確認し、構造計算により耐震性を算出します。
建物が建っている土地の状況や建物の基礎、壁の量と強さ、屋根の種類、建物の老朽度などを調べます。
図面を参考にしながら建物の外回りを目視で確認するとともに室内から床下や天井裏を検査します。
また、必要により基礎の鉄筋の有無や建物の傾斜を測定することもあります。
耐震基準に適合していなかった場合は、耐震性を高めるために必要な改修工事の内容も計画されます。
「耐震基準」とは、大型地震に耐えうる建物が満たす基準のことで、『建築基準法』の中で定められています。
耐震基準は、大型地震が発生するたびに地震の被害状況を反映させながら何度も改定されており、建築基準法に基づく現行の耐震基準は、昭和56年6月1日に導入されました。
耐震診断とインスペクションの違い
ホームインスペクションが「建物の現状や状態を把握するための診断」であるのに対し、耐震診断は「建物の耐震性の有無を判断」することです。
耐震診断は大きな地震が発生した場合、現状と測定値から得られたデータに基づき、建物がどの程度耐えられるかやどのような対策をしたらいいのかなどをアドバイスします。
従って耐震性に影響のない箇所の劣化状況については診断の対象となりません。
ですので、さらなる安心や安全な住まいを求めるとなるとホームインスペクションと耐震診断を同時に行うことが推奨されます。
耐震診断を済ませておくべき家の特徴は?
以下に該当する家では特に耐震診断を済ませておくと良いでしょう。
また、インスペクションも同時に実施しておくと耐震性も踏まえた総合的な家の状態を知ることができます。
1981年6月以前に建てられた家
先述の通り、1981年6月は建築基準法の耐震基準が大きく改定されたタイミングで、この日付以前に使われていた耐震基準は「旧耐震基準」、現行の耐震基準は「新耐震基準」と呼び分けられています。
従って、1981年6月以前に建てて一度も耐震改修工事を実施していない家は現行の耐震基準に適合していませんので耐震診断の必要性は非常に高いと言えるでしょう。
重い外装材が使われている家
家は重いほど地震の衝撃を受けて揺れやすいため家財の落下や転倒の危険性が高くなり強い揺れで壁や柱、梁といった構造材にもひび割れや金具の破損といったダメージが生じやすくなります。
下記に該当する外装材が使われている家は、耐震診断を実施するか、インスペクションで外装材の劣化状況を調べ、必要に応じて軽い外装材にリフォームしても良いでしょう。
重い外装材の例
- 屋根…日本瓦
- 外壁…タイル材、レンガ材
軽い外装材の例
- 屋根…スレート
- 外壁…サイディング(特に金属系)
過去に家の増築が行われた家
建築後に後から増築を行うと、建物の強度バランスが崩れてしまうことがあります。
通常、施工業者を通じて増築を行っていれば、建築確認申請をクリアしたうえで施工されていますので、耐震性や強度を心配する必要はありません。
しかし、専門業者ではなく持ち主がDIY等で増改築している場合、建築確認申請が行われていない可能性が高く、建物の強度や耐震性が損なわれている恐れがあります。
壁や天井が少ない家
建物を支えているのは何よりも「壁」であり、そこに天井が加わることで縦横の強度バランスが保たれています。
つまり、壁や天井が少ない家ほど、地震の揺れを受け止めきれない可能性が高くなります。
ビルトインガレージや大きな窓などがあって、四方の一か所だけ極端に壁の量が少ない家や、大きな吹き抜け構造で天井が少ない家などは耐震性に注意を払った方が良いでしょう。
耐震診断を依頼する際の注意点
耐震診断も耐震工事も、決して安い金額で気軽に行えるものではありません。
相場内で確実に耐震リフォームを行うためにも、業者選定のポイントや補助金情報なども知っておきましょう。
耐震診断は信頼できる業者に依頼しよう
建物の耐震性は、建築に精通した専門家でしか正確に調べられません。
耐震診断を行う場合は必ず、自治体などの公的機関が紹介している建築事務所やリフォーム会社に任せましょう。
耐震診断の相見積もりを取る
耐震診断を行う際は、2~3社に耐震診断費用の相見積もりを取りましょう。
見積もりを比較する時は、合計金額だけでなく工事内容にもしっかり目を通し、見積もり計算の根拠まで業者に説明してもらうことが大切です。
見積もりの結果、耐震改修に緊急性がなく、設備系統の不具合など他の箇所に劣化が多く見られた場合は、インスペクションに切り替えても良いでしょう。
自治体の補助金も活用しよう
お住まいの自治体によっては、耐震診断費用の補助金が出る所もあります。
自治体によって条件は異なりますが、補助金を利用するためには、
- 1981年6月以前に建てられた家であること
- 自治体指定の業者に診断を依頼すること
- 居住用の家であること
などの条件を満たす必要があります。
引用:静岡県耐震ナビ
おわりに
大型地震への備えが注目されている昨今、耐震診断は今後多くの住宅で必要になると考えられます。
インスペクションとの違いを把握して、費用に余裕を持って確実な耐震診断と耐震改修工事を済ませておきましょう。
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